はしごがはずれる時
トーキンに強化のスイッチが入ったな、という感触は2006年の秋田での全社出場と同じ企業チームであるTDKのJFL昇格あたりからあった。
長年、手作りの旗をふる1組のご家族が応援していたのだけど、全社の会場では会社で準備したであろう大旗や横断幕、そして大勢の社員の皆さんが声援を送っていたし、翌年にはベガルタ仙台の大橋選手が初のプロからのレンタル選手として加入した。
それまでのトーキンは、実力がある選手を擁しながら時に気が逸りすぎるような所があって、そういうのをきっちり売り買いしてしまうプリメーロの選手たちとも、私たちともやんややんやとやり合う間柄だった。
実力的にも拮抗していたし、何かと印象に残る試合をしてきた。
それが2007年からはなかなか歯が立たない力の差を感じさせるチームとなっていった。
リーグ戦ではグルージャと勝ち点1の差で地域決勝出場権を逃したトーキンだったが、再度出場権を得ることができるプレーオフ的な大会となった全国社会人サッカー大会で準優勝したのは10月22日。
東北のチームはレベルが低いだの全国で勝てないだの、散々言われ続けてきてたし、実際そうとしか言いようのない試合もあるのだけど、そんなリーグを代表して出場したトーキンが前評判を覆し、勝ち進んでいく様に心ひそかに喝采を送っていた。
TDKが毎年のように地域決勝に出場していたころも、いつもそんな感じで結果を追っていたっけ。
グループ分けも発表され、奇しくもグルージャと同組となり、さていったいどうなるかと思っていた矢先、トーキンが出場を辞退するようだ、という話が11月3日の夜ごろ、ネットでぽつぽつと出始め、そして関係する各チームの公式サイトからも辞退の旨が伝えられた。これにより、全社4位の松本山雅が出場することとなった。
企業チームが意向ひとつでどうにでもなるという事は、観客や競技にかかわる者だけではどうにもならない部分を成り立たせてもらっている事とコインの裏表のようなもので、それはそれで企業チームらしさだし、部外者にはどうしようもできないことだと理解している。
ただ、東北の優秀な若手選手の貴重な受け皿として機能していただけに*1、その力を試す機会がこのような形で失われたことが本当に残念でならない。
そしてトーキンのキャプテンの大橋選手のブログにある、全社から辞退までの流れを追うと 本当にあっという間にはしごって外れてしまうものなんだなと思い知らされる。
大橋☆ブログ
http://gold.ap.teacup.com/ohashi/
それにしても、この状況で感謝の言葉をあらわせるとは…すごいよ。
*1:東北のサッカー強豪大学やJFL、地域リーグ、Jから移籍した20代の選手が主力として活躍していた。こちらの大会レポ見てそういえばそうだなぁ、と 3rdFlightFootballWeb: 024【全国社会人】「実りの秋を越えて」(第44回全国社会人サッカー選手権大会(トキめき新潟国体サッカー競技リハーサル大会)http://3rdflightfootball.seesaa.net/article/108537582.html