トリツカレ男。

トリツカレ男 (新潮文庫)

トリツカレ男 (新潮文庫)

主人公のジュゼッペは周りが見えなくなるほど
次々と何かに夢中になってしまうため
周りはあきれつつも親しみをこめて
彼を「トリツカレ男」と呼んでいる。

そんな彼が次にトリツカレたのは
笑顔がかわいい、でもどこか影をもった
異国からきた女の子、ペチカ。
ペチカと仲良くなるために、
その笑顔のために表に影に奔走するジュゼッペに
しだいに心を開くペチカだが、
ついにその心の奥底にしまいこまれた秘密を知り、
ある決心をする・・・

この決心の末にある行動は、
不器用でばかばかしくも泣けてくる、滅私の愛。
でも、そうせずにはいられないんだろうなぁ・・・

最初は文体になかなかなじめずにいたけど、
話の大詰め、真冬の街が舞台となることも相まって、
最後のころは主人公・ジュゼッペにかなり感情移入して
涙・ナミダでした。
といっても、童話的な話なので重くないですよ。

冬に読むとすごくぴったりな感じ。
時節柄、人恋しくなった時にもかなりおすすめです。
誰のこころの中にも多かれ少なかれ
トリツカレ男だったり、トリツカレ女が
住み着いているとおもうから。